2025年の立冬を迎えた本日11月7日。
酒丸です。
「立冬」の「立」とは、「始まり」という事。
みなさん、ついに始まりましたよ、冬。
冬といえば鍋。
なんですが…
実は先日、
実に美味しい鍋をつついた様なイベントに参加してきました。
インスピレーショントウキョウ!
昨年の2024年から東京でも開催される様になったインスピレーション。
「マイ・フリーダム」というヴィンテージ書籍で有名な田中凛太郎氏が仕掛けている、
ヴィンテージの世界観に浸れるイベント。
その2回目の日本開催。
実は昨年も参加するつもりで意気揚々と高速バスに乗ったんですが…
バスに乗った途端に母が入院している病院の婦長さんから電話。
危篤だからすぐに来て!と。
でも高速バスに乗った瞬間なので、新宿バスタまで降りられない(汗)
なので新宿バスタまで乗って、
バスターミナルから出る事無く帰りのバスに乗車。
というわけで、今年が初参戦だったのです。
いやぁ、すごいイベント!
出展している人達のほとんどが知り合いという事もあり、
まるで同級生と美味しい鍋を突きながら美味しい酒を飲んでる気分でした。
良いイベントだった~!
そして冬という事は、
もう徐々にパーティシーズンですね!
そんなシーズンに先駆けて…
ドライボーンズのお得意分野である、
「実に不良でオシャレなドレスシャツ」をご紹介!
大阪店店長がキリリと着こなしているこのシャツがそれ!
クレリックピンホールカラーシャツ!
ピンホールカラー部分のアップ。
ああ、美しい…。
私が「実に不良でオシャレな~」という接頭詞をつけた理由は、
アメリカンギャング創世記と関係しているからなのです。
1920年代の禁酒法時代、
シカゴやニューヨークの新興イタリアンギャング達は、
こぞってぶっ飛んだオシャレを楽しみながらギャング稼業に勤しんでいたからなのです!
私が大好きなアメリカのドラマ「ボードウォークエンパイア」。
このドラマは監督がマーティン・スコセッシだった事で話題になりました。
彼は元仕立て屋の息子。
映画の衣装に一角ならぬこだわりを持つ監督なのです。
(タクシードライバーしかり、グッドフェローズしかり)
なので当然、このドラマ内の役者達は、
全員がオーダーメイドの1920年代衣装やヴィンテージばかり。
では紹介していきましょう。
まずは主人公のナッキー・トンプソン。
スティーヴ・ブシェミが演じています。
非常に着丈が長いウィンドウペーンチェックのウール3ピースセットアップ、
格子柄に合わせてピンクのネクタイ(おそらく7ホールド)、
シャツはタブカラーでブルーオックスのクレリック。
ブラウンのスーツにグレー(ちょいベージュがかってる)のハット、
上級者な着こなし。
お次も同じくナッキー・トンプソン。
明るめグレーチェックの3ピースセットアップに、
オレンジ色ボディ(!)のクレリックカラー。
このシャツもおそらくタブカラー。
そしてナッキーの息子、ジェームス。
チャコールグレーのヘリンボーン3ピースセットアップに、
ネイビーカラーのピンホールシャツ。
ダーク系統の色で纏めているところが、
彼のこの先の行く末を表現出来ています。
こんなシャツ、オーダーメイドじゃなきゃ巡り会えないレアカラー。
若かりし頃のイケイケなラッキー・ルチアーノ。
ネイビーのピークドラペルシングル3つ揃えに、
淡いグレー織柄シャツをカラークリップ留め。
このスーツはヴィンテージっぽい。
そして私のお気に入りのキャラクター、
スナイパー(暗殺者)のリチャード・ハロー。
第一次世界大戦で顔面を吹っ飛ばされ、
顔半分をマスクで覆っている。
ワーク系の着こなしが多いが、
この写真ではウールのゴツいコートにタイドアップ。
シャツはクラシックカラーをカラークリップで留めています。
と、まぁ色々と登場人物を紹介してみましたが…
一貫して言えている事は、
「全員、襟がバタつかないシャツ」を着用しているのです。
タブカラー、カラークリップ、
そしてピンホール。
こういった「襟を留める仕様」が、
1920年代のギャング間で大流行しているのです。
そんな中、
本当に久しぶりにドライボーンズで発表できるピンホールシャツ!
私は密かに感無量なのです!
襟界隈のアップ。
ピンホールのピンが入る穴は、
菊穴刺繍。
猛烈に手が掛かっています。
裾の形状。
前立てプラケットは最下ボタンで終わっていて、
そこから綺麗なカーヴを描いています。
この裾はボトムインで着る前提のカーヴ。
脇線エンド部分のピース。
ピースとは、三角形(稀に五角形)の裂け止めパーツ。
このひと手間が、美しいのです。
カフスとプラケット部分。
カフスが白の切り替えなのは、
襟と同期するから当然なんですが…
プラケット部分も白なのは、
ちょっと珍しいと思います。
これは、深い意味は無いのです。
強いて言えば「色気の演出」。
ジャケットから覗くカフスの白、
更にその奥のプラケットの白。
ゾクっとするほど色っぽい。
そしてその袖の余裕部分。
なんとタックではなく、ギャザー!
このギャザー、
縫製工程としては実に手間が掛かる。
その指示をちゃんとこなしてくれる縫製工場さんに感謝。
そして最後に、このボタン!
本物の天然高瀬貝ボタン、
しかも4mm厚!!!
21世紀にこんなボタンを使ってシャツを作っているのは、
今やドライボーンズか老舗のイタリアンブランドだけだと思います。
そしてピンホールのピンも別売りで用意。
実はこれ、デッドストックなのです。
これが見つかったので、
ピンホールカラーシャツの再生産に踏み切りました。
ずっと見つからず、はや数十年。
デッドストックの在庫を買い切りました。
更には…
その時に見つけたサンプルも、
全部店頭に出しています。
(オンラインショップへの掲載は無し)
こっちはブラスの無垢素材。
1920年代に「プア・ゴールド」と言われた、
下っ端ギャングが付けていたシリーズ。
熱い想いでこのブログを書きましたが…
しょせん、ただのドレスシャツです。
パーティーシーズンにサラリと着こなすも良し、
出勤時に着て自分のモチベーションを上げるも良し、
大事な交渉事の際に見栄を張る為に着ても良し。
使い方はその人の自由です。
ただし、断っておきますが…
明らかに他の人から見て「只者じゃない」雰囲気が出てしまいます。
そんなシャツ、今時滅多に出逢えないと思います。
デッドストック生地だったので少量生産、
お早めに。
さて。
インスピレーショントウキョウからの帰り。
新宿バスタで空を見上げたら…
十三夜の月。
月はどこで見ても美しい。
ではまた。
