明けましておめでとうございます。
そして本日は二十四節気の小寒になりました。
今年初のブログ更新、酒丸です。
今年2023年の正月は、
北陸や北海道は大変みたいですね…。
小寒になったら、次が大寒、その次は立春。
毎年、ここまでが寒い。
あと一息、がんばりましょう。
そんな中、
我が地元千葉県館山市は本当に暖かい。
今年も初詣に行ってきました。
ドピーカン。
そしてポカポカ。
そして、境内で発見。
見えるかな?
今年の干支、ウサギを発見。
この彫刻をした人物は、後藤義光。
江戸末期から明治時代に活躍した地元の木彫り師で、
この館山八幡神社は52歳の頃の作品。
彼は88歳まで生きた人ですが…
この米寿のお祝いの席で
「未だに快心の作を刻んだ事がない。
これから傑作を彫るのだ」と言ったとか。
千葉県南端を中心に100以上の作品を残した偉人、
さすが心の置き場所が違う。
見習わねば。
さて今回のブログでは…
我ながら「快心の作」!
と感じている(義光を見習え)スーツをご紹介。
それがこれ!
この冬初めて作った快心の作、
ウールホップサックの三つ揃え!
ブラウン色と…
ワイン色の2色展開。
私の見解としては…
「1920年代のギャングスタイルの究極」という位置です。
私は過去にこの年代に関して、
様々な映画などから影響を受けております。
ゴッドファーザーやワンスアポンナタイムインアメリカ等々。
そんな中、
ぶっちぎりで一番影響を受けたのがこのドラマ、
「ボードウォーク・エンパイア」!!!
中央にいるのが主人公のナッキー・トンプソン。
スティーヴ・ブシェミが主役です。
それだけでもう、面白くない訳が無い!
この写真でのナッキーは…
ピークドラペルでシングル3つボタン、
ダブル合わせのベストにポケットウォッチという出立ち。
右に立っているのはナッキーの弟、
イーライ・トンプソン。
ロングカラーシャツにカラークリップ、
織りの鮮やかなセブンフォールド・タイ。
左の黒人は底力あるギャング、
チョーキー・ホワイト。
総格子柄の3ピース、
クレリックカラーにボウタイ、
ステットソンのビーバー・フェドラハット。
三者三様、猛烈にかっこいい。
もう1枚、当時のギャング達。
椅子に座るのは大物ギャングのアーノルド・ロススタイン。
ウィンドウペーンチェックの3ピース、
ダブルカフスシャツに大振りなギャングスタイル・カフス。
その後ろはラッキー・ルチアーノ。
グレーストライプの3ピース、
ジャケットの着丈の長さが着る人を選ぶ1920’sスタイル。
ブルー地クレリックシャツにスーツと同型色ネクタイ。
その隣はユダヤ系ギャングのマイヤー・ランスキー。
タッターソールチェックの3ピース、
なんとポケットがアウトポケット!
つまり、アウトドアスポーツ系!
更にもう1枚。
中央にいるのはアル・カポネ。
襟付きベストが、やはり当時っぽい。
両脇は子分達で、
左側はピークドラペルシングルジャケット。
右奥は…ピンボケでわからないけど、
スーツスタイルでバットはヤバい。
とまぁ、
禁酒法時代の悪党が勢揃いしているドラマなのです。
これにガッチリ心を掴まれてしまいました。
ではそういった下地がある前提での、
今回の3ピースの説明をば。
先ずは上着、
ウールホップサック・ピンチバック・ジャケット。
この写真を見てもらえればわかる様に、
シングル3つボタンでピークドラペル。
典型的な1920年代スタイル。
そして画期的なのは、アウトポケットだという事。
これは実は、後ろ身頃と連動するんですが…
後ろ身頃は中段にベルトで切替が入り、
その上には「ピンチバック」と呼ばれるプリーツが入るのです。
更に中央には両開きのダーツが入る、
いわゆるハンティング系スポーツジャケットなのです。
だからこそ、前身頃につくポケットがアウトポケットなのです。
これがインポケットだと、ドレッシーになってしまいがち。
このホップサック(=大麦用麻袋の意)という生地に粗野感があるので、
アウトポケットとピンチバックが見事にマッチするのです!
そしてお次はインナー。
ウールホップサック・ショールカラーベスト。
先ほどアル・カポネが着ていた様に、
襟付きベスト。
現代と違って1920年代頃は、
ジャケットを脱いでベストで仕事をする人も多かったのです。
なので、
ベストに襟を付けて外着として機能を持たせていた場合も多い。
ドライボーンズとしてはジャケットをピークドラペルにしたので…
ベストは敢えてのショールカラー。
スポーツ用としてアウトポケットなのに、
ショールカラーという一番ドレッシーな襟。
このギャップがかなり洒落てる。
また、
前立ては大きくラウンドさせました(これもアウトドア用)。
最下ボタンは留められない位置につけています。
これもジェントルマン的着こなしの再現。
最後にボトム。
ウールホップサック・フィッシュテイルバック・トラウザーズ。
後中心がV字型に先割れしているデザインを、
フィッシュテイルと言います。
サスペンダーで吊る事が一般的だった1920年代のヨーロッパでは、
けっこう多く見るデザイン。
ただしこのデザインは、
あまりアメリカでは流行しませんでした。
ヨーロッパでのテイラード文化が根付いた地域での流行だったのです。
1920年代、アメリカは既に大量生産時代に突入しています。
なのでこの形状はほとんど作られなくなりました。
また、ジャケット・ベストと連動して、
トラウザーズもアウトポケットにしてみました。
これはヨーロッパの各軍の戦前モデルなどでも多くみられる形。
ボードウォークエンパイアに出てくるギャングは、
基本的にみんなヨーロッパ系です。
イタリア系、ユダヤ系、アイルランド系…。
第一次世界大戦でヨーロッパが戦禍に塗れ、
アメリカに移住せざるを得なかった人達が生きる為にギャングになっていく、
そんなストーリーを3ピーススーツに落とし込んでみました。
このアメリカドラマ、
なんと制作総指揮はマーティン・スコセッシなのです!
登場人物の設定を衣装で表現できる、
素晴らしい監督。
今回のこの3つ揃え、
トラウザーズの入荷を待ってのブログアップ。
ところが、
年末年始で待ち侘びていたお客様が一斉に動いてくれたので…
既に品薄(汗)。
お早目に。
そして「来年の話は鬼が笑う」と言うので…
やっと年始に初お披露目。
こんなサンプルが完成してきました。
同じくマーティン・スコセッシが監督を務めた映画「グッド・フェローズ」。
この中で「イタリア系マフィアのみ」が着ていたロングポイントカラーシャツ。
今まで25年間、バリモアカラーシャツという名前で作り続けてきましたが…
リニューアルして「イタリアンワイズガイ・カラー・シャツ」としてデビュー!
納品までもうちょっと日数がありますが…
デッドストック生地の為、早期完売が予測されます。
これもお早目に。
ではまた!